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★冴川兄弟のドタバタ珍騒動 第一章 011
変わった生き物だったと思ったら人間のようだ。その「子供」は何か思い出したようにしてはじめに沈黙を破った。
「蒼さんでしたっけ?あなた、お兄さんのこと大切にするのはいいですが、けんかはほどほどにしてはどうです」
部屋にいた三人はいきなりしゃべった得体の知れない子供をまじまじとみた。蒼なんかは奮然としている。話しかけたのは紅だった。
「君。いつからそこにいたんだい?」
* * *
緊張感が一気に吹き飛んだ。
「紅兄!さっきからいたじゃないか」
「天然だな・・・」
拓也まで反論してきたので紅はたじたじと引いてしまう。
先ほどまでの反論は無視していう。
「・・・誰の知り合いだ?変わった子だね」
「そうだろう。けど皆知り合いじゃないぜ」
それを聞いて紅は少し慎重になったようだった。向き直って「変わった子」にはなしかける。
「君は一体なんでここにいるんだい?」
落ち着いた声だった。興味がわいて聞いたというようよりは事務的に発したもののようだった。聞かれたほうは時に答えるつもりはなさそうだったが、少し変わったことを言ってきた。拓也などは面白くなさそうに欠伸をしている。
「あるものをもって帰らないといけないんです。でないと帰れない」
「何だかお困りのようだが、そのある物っていうのは?」
真面目くさって拓也は一言返してそのまま自分の言った言葉が気に入らなかったらしく、そっぽを向いてしまう。紅はそれを真面目に聞いていたが、蒼は何を言っているのか分からず、拓也と話し始めた。
「一体何のことだと思う?拓也さん」
「そんなことより気になるんだが、あいつ女か?男か?」
「本人に聞けばいいじゃないか」
「男だったら俺殴るから」
「・・・・・・」
本気で言っているようだった。だが、拓也は確かに殴ってもそれだけのことをされているので、文句は言わせないだろう。
さきほどの子供が紅を見返していった。
「あるものを渡してくれません?」
「それは物によるね」
「そうですか」
機械的に言ってなにやら壁の方に歩く。
「どこに行くんだい?」
何か嫌な予感が胸の中で騒ぎ始める。表情にはださないが、紅は警戒していた。
「実はどこにあるのか知っているのですが、家のものの許可を取った方がいいと思いまして、ちょっかいを出したのですが、許可を出してもらえそうにないので盗むことにします」
落ち着いて答えているが、内容は過激であった。
「それはもしかして……」
「着いてくれば分かりますよ。着いてこれるかは分かりませんけど。」
壁の中に入っていくようにして進むのを見て、拓也以外は驚いて、そのまま座り込んでしまった。
「だらしない。それであいつに追いつくのは無理だな」
「蒼急いでくれ」
拓也に叱咤されて蒼と紅は部屋をでた。
この家で何か盗むというのなら多分日本刀「乱丸」だろう。
・・・だが、乱丸のある屋根裏部屋に行くには鍵が必要だ。
「俺も混ぜてくれ。」
……宝を先取りされたんではたまらんからな。
紅は拓也の心中に気づくはずもなかった。
拓也は二人についていくようにして、そっと近道をした。
拓也も壁をすり抜けていた。
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