★冴川兄弟のドタバタ珍騒動 第二章 001

紅は不思議な感覚に懐かしさがこみ上げてきたいた。重力はある。だが、この空間では非常にゆっくりと降りていくのだ。

――前にもこのようなことがあった。あれは本当にまだ小さい頃。今回と同じ「乱丸」に触れた時だった。


   * * *



親には絶対に入ってはいけないと言われてきたあの屋根裏部屋に、どうしても入りたくなった時があった。こっそり鍵を取って屋根裏部屋に入った時、最初に目に付いたのがこの「乱丸」だった。そして触ってしまった時、気づいたらお花畑に立っていた。

不思議だった。子供が一人で遊んでいた。あたり一面花以外何もないのに、何故こんなところで遊んでいたのか。

空が明るかったのにその子供に気づいたとき、暗い雲が押し寄せてきて雷が鳴った。それが合図だったかのように、いきなり大粒の雨が降ってきた。その子供は僕に気がついたようだった。いきなり走り出して僕を避けようとしているのが分かった。だけど、そのこが遠くなるにつれてすごく不安になってきた。ここは一体どこなんだ?僕はどうしてこんなところにいるんだろう。

気軽いたときには走り去っていたはずの子供を捕まえて話しかけていた。

「君は一体誰なの?」

子供は怯えていた。寒さで震えていたのかもしれない。
どうしてこんなことを……。ずっと記憶にはなかったのに、つい昨日あったことのように思い出せる。
そしてあの子は、そう、こう言っていたんだ。

「君は一体誰なの?」

同じことを繰り返していってきたんだ。

「ふざけないでくれよ。ああそうか、僕は冴川紅。紅って呼んでよ」
「ふざけないでくれよ。ああそうか、僕は冴川紅。紅って呼んでよ」

その時僕はどんな顔をしていたんだろう。でもむきになって言い返したんだ。

「君の名前は?」
「君の名前は?」

「僕の名前は?」
「僕の名前は?」

「僕の名前は紅だよ」
「僕の名前は拓也だよ」

「えっ?」
「えっ?」

何かおかしいと思ったんだ。だからもう一度いったんだ。

「僕の名前は紅だよ」

すると笑って答えてくれて、

「僕の名前は拓也だよ」

といったんだ。





――拓也……まさかあの時の拓也なのか……?







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