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★冴川兄弟のドタバタ珍騒動 第二章 005
「いい加減にしろ!!」
紅がいきりグーでなぐると拓也は数メートルは吹っ飛んだ。
「う・・・マジでなぐるこたぁないだろが!!」
「限度があるんだよ拓也。心配してるのはわかったから俺もおとなしくしてるし。」
「ひどいなぁ。あれは本当に危険だから気をつけてほしいんだけど。・・・そういえば紅が初めて来たときにもあれと同じような雲が見えたな」
あの雨を降らせた黒い雲のことだろうかと紅は考えた。確かに似ている。
「何も起こらなければいいんだが。面倒なことはこの際無視したいな」
拓也がひとり雲の様子を見ながらつぶやく。
「そういいたい気持ちはよくわかるよ。こっちも何かあったらまた静司に仮を作らないといけないからな。すでに来る前にひとつ作ってるし。いつも助けられてばかりで。」
拓也はおかしくなって笑い出してしまった。紅は頼りない。これでは弟たちに心配されるのも無理はないだろう。
「拓也。なに笑ってるんだよ」
「いや。なんでもないよ」
紅は拓也に忠告をいれる。めがねをかけているためか、それとも体格、雰囲気からしてやさしそうだからか、そんなに怖そうにみえない。そんな紅をみてまた笑いをこらえているところに異変がおきた。拓也がふと紅をみる。
先ほどと変わらない姿だが雰囲気が違う。冷たい冷気をまとったその姿は見るものを凍らせるようだ。めがねの下の瞳も冷たい光を放っているようだ。
「紅?」
「久しぶりですね拓也」
* * *
冷たい表情に冷たい声。この声を拓也は知っていた。
「お前は・・・石衷」
「そう。よく覚えていましたね、私の分身拓也。異世界はどうでしたか?このような人間にとらわれるとは哀れな分身だ」
くくくと笑うその姿は紅ではありえない。
「なにしにきた。今まで接触してこなかったのに今になって何故ここに」
紅の顔でニタリと笑う石衷は面白そうにいう。
「なにしにとはご挨拶ですね。私は忙しい身。用が済んだらすぐに帰りますが目的はもうわかっているのでしょう?」
「乱丸だろ。何に使うのかなんて考えたくもないがな」
「よくわかっているじゃありませんか」
余裕たっぷりの石衷に拓也はすでに呑まれていた。
乱丸のありかをすでに石衷は知っているのだ。だからこその余裕だろう。俺にわざわざ話しかけているのも余興とみていいだろう。それだけの力の差があることは身をもって知っている。
「さて、久しぶりの挨拶もすみましたし、手っ取り早く事を進めるためにも貴方の体を借りたほうがよさそうですね」
「なに!?」
紅がその場に崩れ落ちた。
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