★冴川兄弟のドタバタ珍騒動 第二章 010

「身体の疲労状態。いつも寝不足で玄関で倒れてたのは一体誰だと思ってるの?」

簡単に言ってのける静司に感謝の言葉を言うと紅はこの習慣を直さなければと思った。

「そろそろ朝だね。蒼が起きたら出掛かるから。荷物はもうできてるんだ。それと、紅」
「なだなにかあるの?・・・・これ」

手に渡されたのは予備のめがねだった。

「もしなくしたりとられたりしたときにはそれと、後もう一つ俺が持ってる。適当に使い分けてちょうだいな」
「わかった」

渡されためがねを胸のポケットにしまうと、背筋を伸ばして起き上がった。
ぐっすり寝ている蒼をチラッと見て、紅は静司に視線を置いた。
(また一つ借りを作ってしまった。どうしてこう、静司を頼ってしまうのだろうか。僕は本当に情けないな)
静司はというと、その頼りになることを生かしてセールスをしているようだ。大体のことができるから、助っ人として金で動いていると聞く。
特に力仕事に使われているらしいが、その使い方はあたっていると思う。静司は何かと頭の固い奴のように主我勝ちだが、どちらかというと体力があるのだ。家でおとなしくお仕事をするより、探検して新しいものを見つけて喜ぶようだ。行動力がある。
僕の場合は家でおとなしくしている方だろう。その製で小さいことから何かとタイプの違う僕たちは後から生まれた蒼を相手にして遊んでいた。僕はおとなしく本を読んだり、ファミコンをしたりあまり行動的ではないことをしていた。政治とはよく喧嘩相手になったり、モノコの里に探検しに言ったり、何かと行動していた。ただ、静司の後をついていくにはちょっと厳しいものがあって、並大抵の行動力では置いて行かれるのが落ちだ。蒼は静司についていくだけの体力があったらしく、おいていかれることはなかったらしい。


今でも何故か覚えている。昔の光景。悲惨だったのは小さいときから小学生にあがる前と中学に静司があがってきたとき。静司と長い間一緒に居たときだ。
初めて二人で対山のモノコの里に行ったのは僕が5歳、静司が4歳だった。いつも遊んでいたアサラ公園が一時改装のため使えなくなりその間の埋め合わせをモノコの里にしたときだ。モノコの里は山の上にあるので、長い石段を登らないといけない。僕もまだあのころは静司とよく遊んでいて、そのくらいのことならば追いついていけた。だが、あがった後が大変だった。静司は走り回ってそこら辺に生えている木の中に隠れたり、モノコの里を管理しているおじいさんの家の縁の下に入って出てこなくなって迷惑をかけたり、挙句には木に登ってそのまま寝てしまっていて、いつ落ちるかもしれないとハラハラしたのを覚えている。
結局僕は起こして連れて帰ろうと樹に登って静司をおこしたのはいいいけど自分が降りれなくなってしまって先に降りた静司にいわれたんだ。

「紅。さっさと降りてこないと先に帰っちゃうよ」

誰のためにこうなったんだ。と何回心の中でつぶやいたことか。結局自力で降りたのだけれど、静司はあきれたように言っていたっけ。

「一人でちゃんと降りられるじゃん」





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