★冴川兄弟のドタバタ珍騒動 第二章 012

気がついたら静司の声がして、保健室のベッドで寝ていた。いや、寝て痛んだと思う。
学校でベッドがあるのは保健室ぐらいだから。
どうやら気を失っていたみたいで、静司から聞いた話によるとめがねは壊れてしまったらしい。それに身体は自由に動かない市で、このまま授業をするのは危険だから静司が帰宅時間になったら迎えに来てくれるということだった。
保険の先生の江本、通称「えもっちゃん」がいうには、静司が僕を抱えてきたらしい。

「一体何があったんだ?あの静司が随分きれいなお姫様を抱えてきたと思ったら手を出すなよときたからな。兄弟仲がいいんだな。まぁ随分疲れているみたいだからゆっくり休んでいなさい。起き上がれないんだろ?」

確かにそのとおりだったのでこくりとうなずいて帰宅時間まで寝ていることにした。
いきなり力が抜けたようだった。身体に力が入らなくて声を出すのも億劫だった。一体どうしてだったのだろうか。
帰宅時間になるとすぐに静司が迎えにきた。まだ起き上がるまで回復していなかった僕を抱えるとえもっちゃんにお礼を言って部屋をでた。
その状況をみてえもっちゃんはちゃんと帰れるか?と心配したが、静司は笑って言っていた。

「心配しなくても大丈夫。家もそんなに遠くないし、弟が迎えに来るから」

帰り道、僕は気になっていたことを静司に話した。

「静司。あの後、お前があいつらを片付けたのか?」

上級生が何人も居たはずなのに静司は怪我一つしていなかった。なんといったものか思案しているようだった静司がいう。

「そうだとしたら?」
「そんなはずはない。いくらなんでもあれだけの人数だ。打ち身くらいするだろう」
「そうかな?」
「そうだ。静司が強いのはしってる。けど違うだろ」
「まあね。俺は止めに入っただけさ」

そういってアサラ公園に入りベンチに僕をおろして弟が来るのを待つ。どうやら静司も感じていたらしい。周囲に人の気配がする。きっと上級生が後をつけているのだろう。このまま家に帰る前に決着をつけるのだろう。

「僕はさっきのこと覚えてないんだ」
「そう」
「だから何をしたのか教えてくれないか」

神妙な顔をして静司に頼む紅に静司は微笑を返すだけだった。どうやら教えてくれる気はないらしい。かわりに紅の頭をぽんぽんと叩いて紅を抱き寄せた。

「知らなくていいから。一人でああいう奴に着いていくのはやめろよ」

静司なりの優しさらしい。そしてすごく心配させていたのだとこの時知った。

「ごめん」
「今更あやまるぐらいなら二度とするなよ」
「・・・ごめん」

そのまま静司に顔をうずめていると後ろから声がかかった。

「ずりーぞ静司兄」
「役得だろ」
「何言ってんだよ。さっさと離せよ」

どうやら弟の蒼が迎えにきたようだった。






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